NASAの清掃員から学ぶやりがい

NASA清掃員の誇りの源とは?

アメリカが1961年からスタートさせた、アポロ月面着陸計画。
ケネディ大統領が10年以内にアメリカが人類を月面に到達させると宣言。
世界中が注目し、多くの人たちがその壮大計画に夢や希望を抱きました。

残念ながらケネディ大統領は凶弾に倒れてしまいますが、その志はジョンソン大統領に受け継がれました。
そして、ジョンソン大統領がNASA(アメリカ航空宇宙局)を訪れた際のNASA清掃員とのエピソードが、今も語り継がれています。

ジョンソン大統領がNASAを訪れたとき、一人の清掃員が床を磨いている姿をみかけたといいます。
彼は、他の清掃員とは様子がまったく異なったそうです。
他のスタッフが、仕事だからとつまらそうに清掃をしているのに比べて、その男性一人だけがとても楽しそうに床を丁寧に磨いていました。

ジョンソン大統領はその姿に興味を惹かれ、彼に何をしているのか?と訪ねたのだそうです。
清掃の仕事をしているとき、誰かにあなたは何をしているのか?と尋ねられたら、果たしてどう答えるでしょうか。

私なら清掃の仕事をしております。

そう答えるでしょう。
しかし、彼は全く違ったのです。

私は、このオフィスの掃除を通じて、人類が月に到達するためのお手伝いをしています。

彼は自分のことを、ただの清掃員ではなく、人類が月に到達するという夢のプロジェクトを実現する一員なのだというビジョンをもって働いていたのですね。

このような考えは、どこから湧いてくるのでしょうか?

仕事に成果は、思い描くビジョンで決まる

NASAの清掃員の中には、掃除をしてきれいにしても、みんながすぐに汚してしまうのでやりがいがないと答えた人もいたそうです。

しかし、ジョンソン大統領に感銘を与えた彼は、自分は名誉な仕事を行っている。
なぜなら、私が仕事をすることで宇宙ロケットが故障することを防止しているからだと、考えていたそうです。

この差は何なのでしょうか?
それは、自分の仕事の将来像に何を描くかの違いなのではないでしょうか。
大統領がアポロ計画というビジョンを打ち出し、人々はそれを実現したいという夢をいだきました。

そして、やりがいがいと感じている清掃員の上司は、オフィスをきれいにするようにと指示するだけでした。
一方、アポロ計画の一員だと考えている清掃員の上司は、彼にこう伝えたといいます。

NASAの掃除は、非常に重要な仕事だ。
ほんのわずかなチリやゴミが、宇宙ロケットの
エンジンの故障を起こす可能性があるからだ。
たがら、の要因になり得るからです。
そのことを心して仕事をしてもらわないと、月に人類を到達させる計画を成功させることはできない。

たかが清掃、されど清掃。
宇宙へとつながる、壮大なビジョンを抱いて仕事をしている人もいるのだと思うと、ワクワクします。