消防点検

消防点検の目的

総務省が消防統計資料をもとに作成した資料によると、平成25年度から29年度にかけての雑居ビル等の特定複合用途建物における火災発生件数は数百件も減少しています。
その理由としては、消防法が改正されたこと、消防機関の行う立入検査によって防災への意識が高まってきたことが挙げられます。

消防点検を行うのは火災の発生を予防すること、万が一起きた場合でも被害を最低限にとどめることが目的です。
数値から見れば消防点検の目的は十分に功を奏していると言っていいでしょう。

消防点検が必要な消防用設備

消防点検においては、設置と点検が義務付けられている消防用設備がいくつか定められており、基準を満たしていないと罰則が課せられますので十分に注意しなければなりません。
消防点検では、まず火災報知器や漏電火災警報器、ガス漏れ警報器などといった警報設備の点検が行われます。
警報設備を定期的に点検しておくことによって、火災や漏電、ガス漏れの際には素早く検知をして対処することができます。

万が一火災が発生した場合でも早期消火が行えるように、使用される設備(消火器・消火栓・スプリンクラーなど)に関しても定期点検は欠かせません。
これと併せて誘導灯矢避難はしご、救助袋等の避難設備に関しても年に2回、点検を行うことが義務付けられています。

消防点検の内容

消防用定期点検については消防法で内容が定められていますが、大まかに分けて「機器点検」と「総合点検」の2つがあります。
機器点検というのは消防用設備の物理的なチェックを行うもので、6ヶ月に1回以上行わなければなりません。
消火器に腐食部分が見当たらないかどうか、あるいは煙感知機に埃が付着して動作を妨げているようなことがないかどうかを点検します。

もうひとつの総合点検というのは消防用設備を実際に作動させて不具合が無いかどうかを確認する作業です。
この点検では火災報知器が正常に作動するかどうか、非常ベルは鳴るかどうかなどといったチェックが行われます。

消防点検にはさらに「防火対象物点検」というものがありますが、これは2001年に起こった歌舞伎町ビル火災の後に施行された制度で、収容人員が300名以上の特定防火対象物に適用されます。
防火対象物点検では防火管理者を選任しているかどうか、消火・通報・避難訓練をきちんと実施しているかどうか、避難階段に障害となる物が置かれていないかどうかなどを確認します。

清掃などは、ビルのオーナーが個人的に清掃員を雇って管理運営することもできます。
消防点検に関しては防災業務に必要とされる資格を有しているスペシャリストが在籍している、信頼のできる管理会社を選んで防災設備管理をトータルで依頼することが肝心です。