衛生点検
衛生点検の目的
ビルは多数の人が使用する場ですから、衛生管理に関しては念には念を入れる必要があります。
ビルの衛生に関しては「ビル管理法」という法律があり、不特定多数の人が使用するビルを常に清潔な状態に保てるようなさまざまな決まり事を定めています。
1970年に公布されたビル管理法(正式名称は「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」)は、オフィスビルはもちろんのこと、デパートなどの商業施設や映画館・劇場などといった興行施設の建物にも適用される法律です。
清掃や害虫駆除などに関して管理項目を設け、ビルが正常な状態に維持されることを目的として作られたのがビル管理法です。
同じ規模の建物でもマンションや病院、工場などにはビル管理法は適用されません。
ビル管理法が適用されるのは、特定用途として使用される床面積が3,000平方メートル以上(学校の場合は8,000平方メートル以上)の建物です。
衛生点検の必要性
ビルの衛生点検では空気関係の調整と給水・排水の管理、清掃、ネズミ・昆虫等の防除をチェックします。
ビル内の空気・水のコンディションが悪ければ、毎日中で働く人の健康状態に悪影響を与える可能性がありますし、ネズミや害虫などを駆除しておかないと病気が発生することもありえます。
衛生点検は怠らずに行うことが大切なわけです。
衛生点検の内容
空気環境測定に関しては、2ヶ月に1回実施することがビル管理法で定められています。
窓のない商業施設やオフィスの場合には一箇所で換気を行う方式をとっているところがほとんどなので、定期的に空気環境を測定することは非常に重要です。
空気環境測定は1日のうちの午前中と午後、2回行われます。
定期測定では浮遊粉じんの量・一酸化炭素・二酸化炭素・温度・相対湿度・気流が測定される他、新築や大規模修繕・模様替えなどを行った後はホルムアルデヒド測定も行われます。
また、空調用冷凍機に使われる冷却塔や加湿装置などに関しても1ヶ月に一度の清掃実施が求められます。
水質検査は6ヶ月に一回行う必要がありますが、検査では pH値や味・色度・臭気・濁度などの他に一般細菌や大腸菌、塩化物イオン蒸発残留物の有無などが調べられます。
ビルには水道管によって送られてきた水を貯めておく貯水槽というものがありますが、貯水槽内の水に関しても水質検査が行われる他、ポンプなどの周辺機器の点検も同時に行われます。
ビル内の清掃はテナント・オフィスごとに行なっているところも多いようですが、害虫やネズミなどの駆除は専門業者に依頼する必要があります。
ビル管理法が定めている検査や作業を行い、ビルに出入りする人の健康を損なうおそれがある場合には、保険所長などから改善命令が出ることがあります。