空調点検

空調点検の目的と必要性

ビルのほとんどは空調設備が完備していますが、空調設備はエレベーターなどと同様に定期的な点検を行わなければなりません。
業務用エアコンは定期的な点検を実施してこまめに部品の交換などを行なっていくことによって、故障を防いで快適に使用することができます。

特にフロン排出抑制法が平成27年4月に施行されて以来、空調設備やエアコンを保守点検することは義務となりました。
空調設備以外に、ビル内にフロンを排出する可能性のある冷蔵庫がある場合も、機器を管理する人を選任しなければならなくなりました。

空調点検を行うことによるメリットとしては、ランニングコストの低減があります。
定期的にメンテナンスを行っている空調設備と、メンテナンスを行っていない設備とを比較した場合、4年経過した後ではノーメンテナンスの設備が4割も消費電力が多かったという結果も出ています。
ですから、空調点検を行うことで電気代を削減できる、ひいては地球の環境問題にも貢献できるわけです。

空調点検の種類

空調点検には「簡易点検」と「定期点検」の2種類がありますが、簡易点検に関しては空調設備の管理者が自分で行うことができます。
これに対して定期点検は資格を有した人が行わなければなりません。

エアコンの保守点検を行った際には、空調設備の設置場所と機器情報、故障時・修理時の日時、定期点検を行った人の名前・団体名などを記録しておきましょう。
そうすることで、大きな故障を回避できる可能性が上がります。

空調点検の内容

簡易点検でチェックしなければならないポイントは、異音や振動があるかどうか、油にじみ・傷の有無、室外機の環境が悪化していないかどうかなどといったことです。
日本冷凍空調設備工業連合会のサイトではチェックしなければならない項目を細かく記載したマニュアルを入手することができますので、ぜひ活用してみてください。

プロが行う定期点検ではオーバーホールを行って内部の汚れを洗浄したり、ガスや水漏れがないかどうかの確認を行います。
それ以外にも、空気の吸い込み・吹き出しの温度、配管温度の測定、一酸化炭素や炭酸ガスの含有率測定などが行われます。

ビルの空調用冷凍機には冷却水が使用されますが、冷却水には「レジオネラ属菌」と呼ばれる細菌が異常増殖する危険性が高いことが分かっています。
冷却塔によって増殖したレジオネラ菌が空中にまき散らされないようにするためには、6月から9月の間に点検・予防メンテナンスを行うと効果的です。

ビルというのはある意味で閉ざされている空間です。
空調設備などはこまめに点検しておかないと、うまく機能しなくなるだけではなくて細菌などの棲家になってしまう可能性があることに気を付けなければなりません。