電気点検

電気点検の目的と必要性

ビルを管理していくためには電気の保安も非常に大切な要素です。
ビルの電気設備の保安に関しては、ビルのオーナーが電気主任技術者を選任し責任を持って管理しなければならないということが電気事業法第42条・第43条に定められています。

ビルの電気設備に故障や事故が発生してしまうと、オーナーが損害を被るのはもちろんのこと、ビルのテナントや近隣への被害も甚大になる可能性があります。
ですから、電気点検は怠らずに定期的に行う必要があるわけです。

ビルの電気点検は月次点検の他に年次点検、そして24時間監視体制と対応から成っています。
月次点検というのは毎月一度、または2ヶ月おきに一度行われる点検のことで、電気を停止せずに通常の使用状態で実施し異常がないかどうかをチェックするものです。

年次点検は一年に一度実施されますが、この時は電気を止めて月次点検ではできない点検や試験・測定・清掃が行われます。
年次点検は毎年行われますが、3年に一度はより精密な機器を用いた点検が行われています。

これらの定期点検とは別に、ビル管理会社と契約をしておけば24時間体制での監視を依頼することができます。
24時間監視ではクライアントからの電話連絡および常時絶縁監視装置からの自動通報に365日24時間対応していますから、夜中に故障などが起きても早急に修理を行い状態が悪化するのを防ぐことができます。

法定停電の際の対策

ビルの中でも特にオフィスビルの場合には、「法定停電」対策を講じる必要があります。
年に1度行われる年次点検では、年に一度は電源を止めた状態で点検を行わなければならないことが電気事業法の保安規定で定められています。

ビル内に入っているオフィスやテナントへの影響を最小限にとどめるため、法定停電は夜間や休日に行われることが多いです。
しかし夜間でも、電源が入ったままのPCやサーバーなどは急に電源が落ちることによってデータが飛んでしまったり、停電後の立ち上げ時に埃などで回路がショートしてしまうことがあります。

このような不都合を避けるためには停電バッテリ(無停電電源装置)を活用することも考えられますが、バッテリが数十分しかもたない場合には停電中にバッテリが切れてしまいます。
法定停電に遭ってもトラブルが起こらないようにするためには、機器やソフト、システムの正常シャットダウンを行っておく、ファンなどを取り外して清掃しておくといった工夫が必要です。
さらにデータのバックアップを取っておくことや、ACアダプタを電源アダプタから外すことも大切です。
ACアダプターを外しておくことによって、電源復帰時に過電流による故障を防ぐことができます。