経営者がトイレ清掃に力を入れるメリット

トイレに現れる経営者の理念

カリスマ経営者と知られる松下幸之助さんを始め、ダスキンの鈴木清一さんなど、多くの経営者、成功者といわれ人たちがトイレ掃除を積極的に行っています。
特にリーダーシップをとるべき立場にいる人に、トイレ掃除を自ら実践する人が多いのですか、これはどのような理由からでしょうか。

トイレ掃除を実践する理由は、人様々だと思います。
しかし経営者の多くが、トイレ掃除を実践する姿を社員に示すことで、経営者として仕事に対峙する姿勢や、会社が大切にするもの、経営理念などを無言のうちに伝えようと考えているのではないでしょうか。

トイレは、最も汚れやすい場所です。
また、大勢の人が使います。
ですから、掃除が行き届いているか、いないかがひと目で分かる場所と言えるでしょう。

環境整備の意義をトイレ掃除で伝え得る

昨今、職場の環境改善として、掃除の大切さが大きな注目を集めています。
しかし、いくら掃除をしましょうといっても、声掛けだけでは社員は積極的に掃除しようとはしないでしょう。

しかし、社長が率先してトイレ掃除を行うことで、社員の中にも自分もやってみようかという人が出てきます。
そして一度掃除をすれば、きれいになれば気持ちいい、頭がスッキリすることが理解できます。
そして、掃除は自分や周りの人を気持ちよくさせるために行うものなのだという気づきが得られることでしょう。

この気付きが、非常に大切なのではないでしょうか。
職場の環境改善といっても、多くの社員は自分のデスク周りだけしか整理整頓しようとしないことでしょう。
たしかにデスク周りを整理整頓することは、とても大切です。
それだけで、仕事の効率が格段にアップするからです。

しかしこの掃除は、自分だけが気持ちよくなる行為でしかありません。
では、トイレはどうでしょうか。
トイレは、みんなが使う場所ですから、トイレを掃除すれば、自分だけでなく他のみんなも気持ちよくなります。

経営者が社員に望むことは、このことなのではないでしょうか。
人は自分や家族の糧を得るために働きますが、仕事のやりがいとはお金だけではないはずです。
周りの人の役に立つ、お客様に喜ばれるということも、仕事の大きな喜びであり醍醐味です。

トイレ掃除を通じて、人は一人で仕事をしているのではない、社会のみんながつがっているんだという気づきを得るきっかけになるはずです。
そして、そのような気づきを体験して、人が喜ぶための行動を起こす社員が増えたら、その会社は社員同士の絆も深まるでしょうし、顧客満足度も上がるはずです。

しかし、トイレ掃除をしろ!と経営者が頭ごなしに命令しても、まったく効果は得られないことでしょう。
社長自らが率先して行う、その背中を見て何かを感じるからこそ、社員たちは自分もやってみようという気になるのではないでしょうか。