空間除菌グッズの危険性

空間除菌とは

新型コロナウイルスの世界的な流行により、私たちは「除菌」という言葉に以前よりも敏感になりました。
身の回りの空間を除菌して、他者との密な接触を避けていれば、新型コロナウイルスなどのウイルスに罹患しにくいという考えから、空間除菌グッズなども販売されるようになりました。

空間除菌というのは、空気中に漂っているウイルスや細菌などを取り除くことです。
普段、私たちは空気中に潜むウイルスや細菌などに関して無頓着ですが、これらは二酸化塩素を空気中に拡散させることによって、機能を著しく低下させることができます。

消費者庁から措置命令も

二酸化塩素の性質を利用した空間除菌グッズがいくつものメーカーから発売されましたが、空間を除菌できるという宣伝には根拠がないということで、平成26年3月27日に消費者庁から措置命令が出されました。
措置命令が出るまでに至ったのは、首からぶら下げる携帯型空間除菌剤によって乳幼児が化学熱傷を負うという事故が発生したからです。
措置命令を受けた製品は、成分表示の欄に次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)やクエン酸、シュウ酸等と書かれていたにも関わらず、国の研究機関が調査した結果、表記されていた成分は検出されず、代わりに亜塩素酸とイソシアヌル酸が検出されました。

空間除菌製品による健康被害

空間除菌製品の成分である塩素系薬剤は、高濃度の場合気道粘膜や皮膚に強い刺激を与えてしまい、さまざまな健康被害を引き起こします。
二酸化塩素ガス自体には確かに殺菌作用がありますが、呼吸器や目などの粘膜を刺激することも否めず、ひどい場合には喘息の原因ともなります。
二酸化塩素自体は食品添加物としても使用されていますので、一定基準内であれば安全性は確認されていますが、塩素ガスよりも毒性の高いガスであるということを忘れてはいけません。

塩素系薬剤は、濃度が高い状態では気道粘膜や皮膚に強い刺激を与えることも考えられます。
独立行政法人製品評価技術基盤機構のウェブサイトでは、空間除菌製品による発生事故の例を確認することができますので、気になる人は閲覧してみることをおすすめします。

私たちが生活している空間には、新型コロナウイルスの他にもインフルエンザウイルスや黄色ブドウ球菌、カビの胞子などといったさまざまな有害物資が浮遊していることも確かです。
家の中の空気を常にきれいに保つためには、十分な換気を心がけることが大切です。
最近の建物は密閉性が高くなっていますので、できるだけ窓を開けて換気を行い、きれいな空気のある空間で生活するようにしましょう。

空間除菌製品を使用するよりも、場合によっては空気清浄機の方がおすすめです。
空気清浄機であれば、活性物質が生活空間に放出される心配がありません。