細菌とウイルスの違いについて

細菌とウイルスでは大きさが違う

新型コロナウイルスに限らず、ノロウイルスやロタウイルス、サルモネラ球菌など、細菌やウイルスは疾患の原因となっていることは知っていても、細菌とウイルスの違いがよく分からないという人が多いのではないでしょうか。
細菌とウイルスはいずれも非常に小さく、肉眼では見ることができません。
最近の大きさを表すにはμm(マイクロメートル=1mmの1/1000の単位)が用いられており、例えばブドウ球菌の大きさは、直径約0.8~1.0μmです。

一方、ウイルスの方は細菌よりもはるかに小さく、単位にはマイクロメートルの1/1000単位であるnm(ナノメートル)が使われます。
最近は光学顕微鏡で見ることができるのに対し、ウイルスはこれよりも小さいため、電子顕微鏡でしか見ることができません。
ちなみにノロウイルスの直径は約30nmです。

細菌とウイルスでは増殖方法なども異なっている

細菌というのは、ひとつの細胞からできている単細胞生物で、糖や水を栄養にして増殖していきます。
ウイルスは細菌とはメカニズムがまったく違い、自分自身で増殖する能力が全く持っておらず、単独で存在することができません。
生きた細胞を宿主にして自己を複製しながら増殖します。

ウイルスが極度に増殖すると、宿主は死亡してしまいウイルス自体も生き残ることができませんので、他の個体に感染して生き延びようとします。
このため、ウイルスは感染力が強いのです。

治療方法と予防方法

このように、細菌とウイルスはまったく違うメカニズムで存在していますから、治療方法と予防方法も異なります。
細菌は、基本的に抗生物質で治療をすることができます。
多細胞生物である生物は遺伝子が膜で覆われている真核細胞で構成されているのに対し、細菌の方は遺伝子が膜で覆われていない原核細胞でできているという違いがあります。
ですから、ペニシリンなどの抗生物質は異なる性質を利用し、細菌だけに作用するように作られています。

ウイルスは生物ではないため、抗生物質を飲んでも治療をすることはできません。
ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤で治療するか、感染を予防するためのワクチンを接種することが重要になってきます。
ワクチンというのは無毒化されたウイルスで、体内に入ることによって免疫力を高め、万が一感染してしまってもウイルスが急激に増殖するのを食い止める力があります。

細菌にしろウイルスにしろ、感染しないためには日頃から免疫力をつけておくことが重要なポイントです。
適度な運動を行って基礎体力をつけ、バランスの良い食生活をキープすることによって、細菌やウイルスに罹りにくい体作りをすることができます。
ストレスをためない、十分な睡眠をとる、手洗いやうがいを怠らないといった心配りも忘れないようにしましょう。